2013年7月27日土曜日

郵政・アフラック提携 がん保険を共同開発

あらずじ(Why?)

 日本政府は7月23日、TPPへの参加を正式表明した。TPPとは、日本・米国を中心とした環太平洋地域による経済連携協定(EPA)のことである。

 TPPに参加するということは、米国を中心とした世界ルールに則って経済を回していくことで、一言で言えばグローバル化の加速を意味する。加盟国内で関税を撤廃するため、自国の製品の輸出額が拡大し、GDPが10年間で約2.7兆円増加すると見積もられている(因みに2012年の国家予算は90兆円)。
 
 その一方で、今まで国が保護してきた農業や医療保険などをTPPのルールに合わせて開放する必要がある。米国は日本に医療保険の市場開放をするようプレッシャーをかけてきており、また「(外資保険には高い関税をかけてるのに)政府が出資する日本郵政が自由に保険商品を出すのはフェアではない」と主張してきた。

 そして今回日本は、TPPの円滑な交渉をするため、米国に妥協する形で、「それなら日本郵政が米国保険(アフラック)と一緒に商品を出しましょう。」という話になったのである。


ニュース詳細↓

日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGC2601V_W3A720C1EE8000/
ロイター
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL4N0FW21C20130726


このニュースが意味するもの(So What?)

①対米従属姿勢の国是
 戦後から現在に至るまで、日本はあらゆる面で米国の要求に従ってきた。安全保障条約、為替レートの変動相場制、郵政民営化に代表される規制緩和(民間開放)、そしてTPPへの加盟... 
 
 日本は「戦争をしない国」(憲法で定められている)として、国家の安全を米国に依存しているため、どうしても米国の機嫌を損ねる行動はできない。それにつけ込む形で、米国は先述のような要求を日本にぶつけ、「日本は米企業のためにもっと市場を開放せよ。」と言っているように筆者には見える。

 特に、昨今のような北朝鮮や中国との関係が悪化し、「万が一」の事態が懸念される状態では、一層米国との関係強化に努めざるを得ない。対米追従の傾向は今後も続いていくだろう。

②日本郵政グループの営利企業化
 小泉政権下で民営化を果たした日本郵政株式会社は、政府の資金が入っているとはいえ、ある意味他の金融機関と同じ立ち位置として市場競争に足を踏み入れた。
 今回、郵政は競争力のあるアフラックとの提携・商品販売を機に、新たな顧客の開拓や手数料収入の拡大を図り、早期の上場を目指すとしている。

そして、絶対見逃してはいけないのは以下のニュース↓
http://www.sankeibiz.jp/business/news/121219/bse1212190502002-n1.htm
 
 ゆうちょ銀行は今年から住宅ローンに参入した。それも(民間金融機関を補完するため)年収400万円以下の人への融資を対象とし、50年にわたる超長期ローンも請け負うとしている。つまり、米国で問題となったサブプライムローンと同じことをしようとしているのだ。

 これが米国からの圧力なのか営利目的なのかは定かではないが、少なくともこれまで民間金融機関が避けてきた商品ということは、相応に貸し倒れのリスクが高い案件であることは明らかである。

 一歩間違えれば、日本版サブプライム危機を引き起こしかねない。政府系企業の営利化への暴走は、国を揺るがす危険性を孕んでいる。



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