2013年7月28日日曜日

トヨタ、新興国で部品から組み立てまでの一貫生産体制を整備

あらすじ(Why?)

 1973年に日本をはじめとする先進国が変動相場制(為替レートを外国為替市場における外貨の需要と供給の関係に任せて自由に決める制度)に移行して以来、製造業等の輸出産業は、業績が常に「円安」と「円高」の影響を受けることになった(それまでは1ドル=360円と固定されていた)。

 そして、クリントン政権下で、米国政府は製造業に注力するのはやめ、金融業とIT産業を急拡大させた。日本(第2次橋本内閣)もその流れを受け、「日本版金融ビッグバン」と呼ばれる制度改革が起きた。これは、「金融市場の規制を緩和・撤廃して、金融市場の活性化や証券業界のグローバル化をしましょう」というもの。すごく簡単に言うなら、「どの企業でも、どの個人でも、どの国のお金や株式も購入できる」ようになったということである。

 これによって、お金の流動性が増し、投資家の気分によって、つまり個々の小さな不祥事のニュースや災害・事件等によって、お金の流れが頻繁に変わる(不安定化する)ようになった。2008年のリーマンショックは金融化の行き着いた先である(詳細は後日)。

 この1,2年、円高で日本の製造業が国際競争力を失ったというニュース、また、安倍政権になって円安が進み、輸出産業が持ち直したというニュースを見た人は多いだろう。このような為替の不安定化は企業にとって大きなリスクである。「だったら為替の影響を受けないように、どうせ新興国で売るなら、そこで生産してしまおう」という潮流がこのところ見受けられる。もちろん、新興国の成長(内需拡大→中流階級の増加)もこのニュースの背景にあるのは言うまでもない。


ニュース詳細↓

日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGKDZO57683320U3A720C1MM8000/

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http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20130728&ng=DGKDASDD260OR_X20C13A7MM8000
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http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD240MV_U3A720C1TJ0000/

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http://www.nikkei.com/article/DGKDASGM2304K_T20C13A7FF1000/


このニュースが意味するもの(So What?)

①グローバル化のリスク回避傾向
世の中はグローバル化の方向にあるのは言うまでもないことである。しかし、ここ数年世界経済が痛感しているのは、グローバル経済すなわち、市場や為替、投資資金が他国と互いに依存し合う経済は、地球の反対側で起こった事件が自分の国の経済にも影響を及ぼしてしまう、とてもリスキーなシステムであるということ。

 現在それを回避するために、各国政府、各企業が躍起になっている。今回のトヨタのように、その国で売るものを輸出ではなく現地生産しよう、というのも対策の一つ。

 同様の問題として、エネルギー問題がある。グローバル経済と同じく、先進国では資源を中東等の新興国に依存しているため、地政学的なリスクを追っている。遠くの国の戦争によって、エネルギー供給がストップするのを阻止するため、現在必死に自国内での再生可能エネルギーの拡大を図っているのだ(もちろん、温暖化等も再エネ促進の背景にあるが、忘れては行けないのはエネルギー安全保障の問題である)。

②国内物流業の縮小化
日本の製造業がどんどん海外に出て行くと、その影響を受けるのは国内の物流業である。国内の工場を海外に移すということは、原材料や製品等の運送が不要になるということ。
今後、国内物流業は海外での事業展開を拡大せざるを得ないだろう。

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http://www.nikkei.com/article/DGKDASDD220DU_S3A720C1TJ1000/
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