2014年1月31日金曜日

都知事選とB層について 〜細川氏、都知事選立候補を表明〜

ニュース概要

 細川護熙元首相(76)は22日、東京都庁で記者会見し、23日告示の東京都知事選への立候補を正式に表明した。会見で、細川氏は「政府が原発を再稼働させようとしていることに危機感を覚えたことが出馬を決めたきっかけだ」と説明。「力を尽くして東京を良い方向に進め、国のありようにも、もの申したい」と述べた。
(1/22 日経新聞 朝刊より)





ニュース詳細↓

日本経済新聞(2013年1月22日)細川氏、都知事選立候補を表明 原発に危機感
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2203A_S4A120C1000000/

日本経済新聞(2013年1月15日)細川氏、出馬を表明 都知事選 小泉氏が支援、脱原発訴え
http://www.nikkei.com/article/DGXDASFS1401D_U4A110C1MM0000/

日本経済新聞(2013年1月23日)細川氏「原発ゼロ何よりも大事」 都知事選 
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG23028_T20C14A1CC0000/



このニュースの背景(Why?)

 このところ街に出る度、騒がしいマイク音声が耳につく。2月9日の都知事選を控え、16人の候補者がしのぎを削って演説を繰り返しているようだ。今回の都知事選はいつもと少し様子が異なり、都民のみならず、全国からの注目度も高いらしい。

 それもそのはず、2020年に開催される夏季五輪を成功させられるか、同時に本格的な少子・高齢社会に突入する「2020年」の首都の姿をどう描くかが問われる重要な選挙だからだ。しかし、都政の課題をよそに、国のエネルギー政策の是非を巡る元首相の発言に注目が集まっている。


 「原発ゼロが何よりも大事だ」

 元首相の細川護熙氏はそう訴える。その背後にいるのはもう一人の元首相である小泉純一郎氏である。

 小泉氏といえば、「郵政民営化に賛成か、反対か」の一点張りの選挙演説を思い出す。彼がバックアップに回った今回の細川元首相の演説は、小泉氏のそれと酷似している。


「原発を即時ゼロにするか、再稼働か」

 東京都知事を決める選挙であるにもかかわらず、なぜか論点が「原発」限定になっている。小泉氏が選挙で勝つために、論点を郵政民営化のみに絞り、(小泉氏の他の政策は気にもとめず)郵政民営化にとりあえず賛成する民衆の票をごっそりつかんだ時と同じやり方である。
(実際細川氏は都の他の政策のことをほとんど考えておらず、原発以外の政策についての発表を延期に延期を重ねていた。)

 ここで細川氏と小泉氏の政策内容に焦点を当てたりはしないし、個人的に興味はない。筆者が着目するのは彼らのマーケティング手法だ。



B層とは何か


 2005年9月の郵政選挙の際、自民党は広告会社のスリード社に対し、「今回選挙で票を獲得するにはどうしたらよいか」という戦略立案を依頼していた。そこでスリード社が提出したのが「郵政民営化・合意コミュニケーション戦略(案)」という企画書である。これは本当の話だ。

 この企画書は、国民を以下のようなA層、B層、C層、D層に分類した。そこでは「構造改革に肯定的でかつIQが低い層」「具体的なことはよくわからないが、小泉純一郎のキャラクターを支持する層」をB層と規定している。そして自民党のターゲットはB層に絞られた。




(引用)http://wondrousjapanforever.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/b-3a6b.html

 なぜ自民党、小泉氏はB層に焦点を当てたか。答えは簡単だ。「簡単に操れて数が多いから」

 上の図で右側に属するB層は、悪い言い方をすると「新しいもの(概念)が大好きで、かつ頭が弱い人」である。(B層が具体的に誰なのかは後述)

 郵政選挙では、このB層に向けて、「改革なくして成長なし」「聖域なき構造改革」と連呼した。そして、


「郵政民営化に賛成か反対か」「改革派か抵抗勢力か」

というように、問題を極度に単純化することで、「普段から物事を考えていない人々」の票を集めたのである。


B層は誰なのか

 B層に関する書籍で有名な適菜収氏によると、B層は大して考えていないのに、何でもやたら意見を持ち、自己主張が強い人々である。彼らは、自分の知らない事を圧倒的な自信のもと発言する。皆さんの周りにはいるだろうか。仮に思い当たらなくても、パソコンを開いてTwitterやFacebook、2ちゃんねるをみれば、いくらでも「B層」を見つける事ができる。

 筆者がB層でないという仮定のもと自分の意見を述べるならば、細川氏が都民に問うている「原発再稼働の是非」は素人が決めるべきではない、極めて難しい国家的問題であると思う。

 再稼働にしても、長期的な面での災害リスクと稼働による経済効果(国益)を厳密に比較する必要があるし、原発ゼロにするならば、どのようにしてエネルギーを代替するのか(天然ガス等の価格リスク、再生可能エネルギーのコストおよび出力不安定性をどう解決するか等)を論理展開しなくてはならない。

 しかし、昨今はエネルギー政策に対しては素人のはずの歌手や芸人までもが、「直感的に」原発ゼロを主張し、それを見た大衆もマスコミに「流されて」同じ意見を叫ぶ。

 このようなB層をターゲットに、今回(も)小泉氏と細川氏は選挙戦を展開しているのだろう。すなわち、東京都の今後について、“福祉”、“オリンピック”、“教育”…等、あれもこれも考える事ができない人に対し、「原発の是非」という極めて単純化された、かつセンセーショナルな問題の一点集中型の戦略というわけだ。

 次回、「B層がなぜ日本で増えているのか」について考察したい。


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