2014年2月9日日曜日

【書評】 堀江貴文「ゼロ」 〜成功とはチャレンジ × 全力疾走〜






 久々に心に「刺さる」ビジネス書を読んだ気がする。

 堀江氏のこれまでの紆余曲折な人生を回想するとともに、数々の失敗や成功から自らが学んだことを、若い世代に懸命に伝えようとする「心意気」が感じ取れる。ストーリーとしても面白いし、ビジネスマンとして働く上でも大いに勉強になる本であった。

 ライブドア時代、メディアが取り上げる堀江氏、否、ホリエモンは、いわゆる「カネの亡者」として世間の目に映っていた。しかし、テレビ局の買収にしても、衆院選屁の出馬にしても、「カネ」ではなく本気で「世の中を良くしたい」という誠実な思いから行動していたのだと読んでいてわかった。

 糸井重里は対談のなかで、堀江氏のことを「ひとを幸せにする本気でおせっかいな人」と評している。加えて「それだけおせっかいなら、そりゃあ、波風立つよ」とも。

 たしかに、その「おせっかい」のせいで栄華を極めた日々は「ゼロ」に帰してしまう。しかし、その「ゼロ」から再び最初の「イチ」を始めようとする堀江貴文(ホリエモンではない)のメッセージは極めて洗練されている。




 以下、筆者がこの本の中で特に印象的だった4つの学びを記す。


① 小さな成功体験を重ねること


 小さな成功体験を重ねることで自分への自信が生まれる。自信が生まれると、仕事でもプライベートでもキョドらなくなる。

 堀江氏は大学の途中までは、女性と話すことへの「自信」が皆無で、目を合わすだけで赤面し、常に挙動不審になっていたらしい。しかし、友達からの誘いでヒッチハイクの旅に出て、見知らぬ人に話しかけ、車に乗せてもらうという「小さな成功体験」を重ねた。こうした経験を踏まえて、少しずつ「自信のある自分」に変わっていき、女性への苦手意識を脱したという。


② リスクを冒してチャレンジすること


 まずはリスクを恐れないでチャレンジすること。そして、目標(ターゲット)を定めたら、それに向けて全力疾走せよ。

 堀江氏は大学時代、ベンチャー企業でのプログラマーとしてのアルバイト経験の中で、発明されたばかりの「インターネット」に出会う。「この技術によって、今後世界はすごいことになる」と直感的に確信した彼は独立を決意する。すぐに大学を辞め、600万円を借金して立ち上げた「有限会社オン・ザ・エッジ」で、彼は睡眠以外の全てを捨てて働きつづけた。
 何度も挫折を経験しつつも事業は拡大していき、六本木の雑居ビルの7畳部屋から始まった会社は、誰もが知るライブドアとなった。

 このように、チャンスが見えたらリスクを冒して飛び込むことから全ては始まるのだ。堀江氏の言葉を借りるならば、人生は

「パーティーで自分から女性に話しかけるか、隅っこにいるか」

の2択なのだ。


③ まずは見栄を張ること


 堀江氏が起業後、仕事をする上で、大事にしていたスタンスは、「できそうか、できなそうか」ではなく、まず「できます!」と言うこと。そして、仮説を立てて、実践し、試行錯誤を繰り返すこと。
 自分の今のレベルよりも、高いレベルの仕事に立ち向かい、格闘することで、自分の実力は(プレッシャーにつぶされそうになりながらも)否応無しに伸びていく。


④ ともかく「ハマる(没頭する)」こと


 人は何かに没頭することができた時、その対象を好きになることが出来る。

 ここで大事なのは順番だ。「仕事が好きだから、営業に没頭する」のではない。「営業に没頭したから、仕事が好きになる」のだ。堀江氏は言う。

「仕事が嫌いな人は、ただの経験不足」

 仕事に没頭した経験がない、無我夢中になった経験がない、そこまでのめり込んだ経験がない。それだけの話なのだ。

 高校3年まで落ちこぼれだった堀江氏は、半年間の受験勉強を経て東大に入学するが、それは決して「ストイックな努力」の賜物ではないという。ただ受験勉強に「ハマった」だけなのだ。やりたくないことも、自分でルール(目標)を作り、能動的に取り組めば、必ず「やりがい」が見えてくる。

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 さて、この本を読んだ後の筆者のアクションを短い言葉で表すならば、「ともかく打席に立つこと」そして「目の前の一球にのめりこむすること」。ともかくリスクを恐れない「チャレンジ」と、それに「ハマる」ことだけ意識すれば良い。目標との距離はおそらく、目前になってハッと気づくことだろう。

 最後に、筆者の好きな堀江氏の言葉で締めくくることにする。



「経験とは、経過した時間ではなくて、自らが足を踏み出した歩数によってカウントされていくのだ」




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