2013年8月10日土曜日

水素社会が一歩前へ  燃料電池車の規制緩和 水素スタンド設置費3割減

あらすじ(Why?)

 最近、特に震災以降になって「水素エネルギー」なるニュースをよく目にするようになった。国(主に経済産業省)が、原発に変わるエネルギーの重要な選択肢の一つとして強く推進しているのだ。
現段階では水素エネルギーの使い道は、ほぼ燃料電池自動車(FCV)としてである。FCVは水素を燃焼させるため、水しか発生しないという低公害車の1つ。)

 実は日本において「水素社会を作ろう」という潮流(Stream)は今回が初めてではない。技術開発自体はオイルショック以降、国を挙げて30年以上にわたり進められてきたし、実際2000年代初頭にも今回のような水素社会を目指した動きがあった(詳細は割愛するが、WE-NETプロジェクトやJHFCプロジェクト等)。

 ただ、「石油が枯渇する」と言われ続けながらも、石油を始めとする化石燃料の価格は社会のスキームを変えるほど変化しなかった。残念なことに、石油やガスによる発電コストや自動車の値段は、水素のそれとは数10〜100倍のレベルで違った。加えて、日本が21世紀になって新エネ・再エネよりも「原発」を優先する政策に転換したため、水素ブームはいとも簡単に消滅していった。

 しかし今回(つまり震災以降の水素ブーム)は前回とは少しインセンティブの強さが違う。理由の1つとして、政府の"二酸化炭素削減目標に対する焦り"がある。

 未だに日本は温暖化への取り組みで世界の先頭を走っていると思われがちだが、そんなことはない。むしろ逆である。2011年末に開催された候変動枠組条 約第 17 回締約国会議(COP17)で、日本は京都議定書の第2約束期間への参加を拒否している。さらに政府は、鳩山元首相が2009年の気候変動サミットで公言し、拍手喝采を頂戴した「2020年に25%削減(1990年比)」という目標を撤回することを5月に国連に通知した。

 つまり、現在日本が国際的に掲げている温暖化目標は皆無であるということ。

 今の段階では原発が停止したから火力を使わざるを得ない、という言い訳が通用している。しかし、2年後、3年後、(米国はともかく)欧州諸国が黙っているはずがない。CO2排出量を減らす有力な選択肢の1つとして水素の普及に注力しているのだ。(他の選択しは後で述べる)

ニュース詳細↓

日本経済新聞(7月26日)燃料電池車の規制緩和 水素スタンド設置費3割減
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF2900G_Z20C13A7MM0000/


今週の同じ背景を持つニュース↓

水素有効活用へ新たに5社参画 パナソニックなど
http://www.nikkei.com/paper/article/?ng=DGKDASDD020OS_T00C13A8TJC000
JXエネが水素精製装置 燃料電池車向け、低炭素型に 
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD010F1_R00C13A8TJ2000/


このニュースが意味するもの(So What?)

 国がCO2削減目標を放棄したことに焦りを感じていること(筆者の推測)が事実だとすれば、今後も水素普及のための施策が増していくだろう。それだけではなく、再生可能エネルギーの普及促進(固定価格買取制度←13年7月28日のブログ記事)や、CCS(火力発電所等から発生したCO2を地下に貯蔵する方法)も加速するはずだ。


 現段階では水素ステーション(FCV向けの"ガソリンスタンド")は高圧ガス保安法をはじめ、厳しく法律で管理されており、なかなか低コストかが実現していなかった。これからも今回のような(規制緩和の)ニュースが少しずつ増えていくと思われる。
 
 さらに、水素は将来的にはFCVだけでなく、発電にも利用される可能性が十分ある(下記記事参照)。現時点で水素発電を行っている例は世界にはないが、日本がリードできる分野として、今後も目を離せない。

水素が変える日本の電力 発電の代替・補完も視野 
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO57772170W3A720C1X21000/




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