2014年4月11日金曜日

ロジカルシンキングの限界と複雑な現象を読み解くためのシステムシンキング その1

 1ヶ月以上も更新を怠ってしまいました。毎回読んで下さっている読者の皆さんにはお詫び申し上げます。

 さて、しばらく記事を書かなかった、いや書けなかったのは、仕事の繁忙期であったこと(言い訳がましく恐縮です)に加え、「あること」に対する疑問を払拭できなかったからです。

 その疑問とは、「各ニュースを単一のStream(背景)だけで理解してよいのか」ということです。
 本ブログ「NEWstreamer」では、例えば「薬のネット販売解禁」というニュースに対し、

Stream① 政府の経済成長戦略(→それにより、薬のネット販売解禁)
Stream② 社会保障費の拡大(→それにより、薬のネット販売解禁)
Stream③ 少子高齢化(→それにより、薬のネット販売解禁)
Stream④ 医療大国を目指すための戦略(→それにより、薬のネット販売解禁)

というように、「A → B(AによってBが生じる)」という、直線的かつ単純な論理展開で表現してきました。言い換えれば、いわゆる「静的」で、Streamの時間的変化を無視した表現とういことになります。もちろん今でも記事でお示ししてきた背景はいずれも的を外しているとは思っていません。


 しかし、言うまでもなく、世の中に生じる現象(ニュース)は、バタフライ効果ではないですが、複雑な因果関係が「動的」に相互に絡み合って私たちの目の前に現れているはずです。無論、本ブログでニュースを分析するのに、全ての因果関係をこと細かく追うことはできませんし、その必要もないでしょう。

 ただ、この1ヶ月間これまでの記事(ニュースの背景(Stream))を読み返してきて、違和感が拭えなかったのは、「各Stream(および記事に書けなかった細かいStream)同士が相互に影響を及ぼしていること」、そして「各Streamの大きさが刻一刻と変化していること」という動的な部分を表現できていなかったからであると気がつきました。

 例えば上の4つのStreamにおいて、政府の経済成長戦略(①)は、国の社会保障費増大(②)による圧迫感の度合いによって、また少子高齢化(③)の進行度によって数年単位で変化していくことでしょう。また、少子高齢化(③)と社会保障費(②)の間にも直接的な関係があるのも言うまでもありません。さらに、医療大国戦略(④)は少子高齢化(③)やiPS細胞の研究成果によって影響を受けたもので、高齢化度や研究の進捗により短中期的に変化するものです。

 世の中の動きを動的に理解するということは、たった今述べた例だけみてもわかるように非常に困難です。つまり、「AだからB」という通常の「論理思考」だけでは絶対に捉えきれません。しかし、2014年度のNEWstreamerは、この複雑な世界を「動的に」理解することに挑戦したいと思います。「では、どうやって?」は次号でお示しできればと思います。


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